「上げ底女性管理職」は女性側の問題か

政治における男女平等を実現するために議員や閣僚に占める男女の割合をあらかじめ定めることをクォータ制と呼びます。ノルウェーでは、法制化によって一般企業にもクォータ制を導入したことで、女性の社会進出に対して大きな成果をあげることが出来ました。

 

日本企業も、女性管理職の割合を増やそうと様々な努力をしています。中には、勤続年数の長いベテラン女性に声をかけて管理職に登用し、何とか管理職に占める女性の割合を増やしたけれど、その実態は部下なし管理職ということもあります。あるいは、これまで一般事務をしていた女性に管理職になってもらったところ、仕事が回らなくなり部下が困ってしまったという話もあります。

 

これは果たして管理職を任された女性側の問題なのでしょうか。

 

男性でも、リーダーになったばかりの時に、どのように行動してよいか分からず行き詰まってしまうのは良くあることです。いま管理職として活躍している人の中にも、リーダーとして壁に突き当たり困っていた時に、上司や先輩に相談してアドバイスをもらうことで、少しずつ成長してきたという記憶がある人は多いことでしょう。いきなりリーダーが務まる人は、男性でもそう多くはありません。つまり、管理職になるための助走段階に当たるような仕事を、これまで女性が与えられてこなかったことも原因ではないでしょうか。管理職がどんな仕事をするかを知る機会がなかったのであれば、いきなり管理職の仕事を任されても、うまく行くはずがありません。

 

男性上司が女性に仕事を依頼する時、「すぐに結婚退職するから補助的な仕事でいい」といった男性優位の考え方をする上司がいる一方、「この仕事は大変なので女性に任せると可哀そう」など、むしろ女性を大事にしようとする配慮から、男女を区別するような仕事配分をしてしまう上司もいます。どちらの場合も、女性から成長する機会を奪っていることに変わりはありません。男性上司のアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)が、女性活躍推進の障害のひとつになっている可能性もあります。

 

マミートラックとは、子供を持つ女性社員が時短勤務を理由に補助的な仕事しかさせてもらえなくなり、結果として管理職コースから外れてしまうことを言います。理解ある上司として振舞おうとして、逆にやる気のある女性社員の成長を妨げているとすれば、それは会社としても大きな損失です。男性上司が女性社員に対して、どのような仕事配分をしていくかが、会社の将来を左右することにもなるのです。

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