女性活躍推進のための企業風土改革は長期戦で

前回、女性が管理職になりたがらないのは、「管理職になるのは長時間労働が前提になる」「配偶者が子育てや家事に協力してくれない」と女性が考えているからだと述べました。このような現状を変え、「管理職になってもいいかな」と女性に思ってもらうために、会社は何をすればよいのでしょうか。

 

「長時間労働が求められるから管理職にならない」という女性の意識に対しては、働き方改革によって、男性を含めた社員全体の働き方を変えていくことが最低限必要になります。残業削減のためには、効率的な業務運営ができる組織構造への変化も求められます。

 

また、「配偶者が家事や育児に協力してくれない」という現状を変えるには、男性が家事・育児に協力しやすい企業風土づくりを進めていく必要があります。スタートアップ企業の中には、トップ自らが育休を取得して、社内に「男性も家事・育児に協力するのが当たり前」という雰囲気を醸成しようとしているところもあります。各企業の取り組みについては、厚生労働省の「イクメンプロジェクト」のホームページが参考になります。

 

近年では、SDGs(国連の掲げる持続可能な開発目標)に取り組む企業が増えてきました。17ある目標のうちの5番目が「ジェンダー平等を実現しよう」であり、女性活躍推進は国内だけでなく世界規模で取り組むべき課題だということになります。グローバル指標の5.4.1には「無償の家事・ケア労働に費やす時間の割合(性別、年齢、場所別)」が、5.5.2には「管理職に占める女性の割合」があります。事業戦略としてSDGsに取り組む一環で、達成すべき社内目標の中に「管理職に占める女性の割合」を組み込むこともできるでしょう。

 

いずれにしても、女性活躍推進がいきなりスムーズに進むことはありません。企業風土は、長期戦で臨まなければ変わらないものです。効果を検証しながら様々な施策を導入する試みを、辛抱強く続けていくことが大切です。

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