「ダイバーシティ」が意味すること

少子高齢化による人手不足解消のための対策のひとつとして女性活躍推進が挙げられています。世界情勢をみた時に諸外国から日本が遅れているから男女格差の是正が必要だとする考え方もあります。また、横並び意識の強い日本社会では、他社が取り組んでいる施策なのでウチもやらなければ…という傾向があります。しかし、もし女性活躍推進のアクセルが外圧や横並び意識だけだとしたら、それは悲しいことです。

 

別の側面から女性活躍推進の意義について考えてみましょう。

 

女性活躍推進を担当する部署として、「ダイバーシティ推進室」のような名称が多く見られます。この「ダイバーシティ」とは「多様性」であり、性別、人種、年齢、学歴、障害などによる格差を解消し、多様な人材を積極的に活用していくことを意味しています。女性に限らず、広い意味での多様な人材活用を目的としているのがダイバーシティということになります。

 

多様な人材の活用によって得られる効果として、次の2点が考えられます。

 

1点目は「従来的手法からの脱却」です。現代社会は技術革新のスピードが速く、それに合わせて顧客ニーズが急速に変わるため、将来を予測するのが難しい状況にあります。どの企業も必死になってデータ分析をやって、論理的に戦略を導き出そうとしています。成功体験があればあるほど、これまでのやり方に固執してしまう傾向があり、新たな基軸を打ち出したつもりでも、客観的にみると、これまでのやり方に少し変更を加えただけということが多いものです。

 

そのようなときには、従来のビジネス手法の踏襲に意義を感じない人たちに参画してもらうことが必要です。これまではコンサルティング会社に依頼することが多かったかもしれません。今なら、スタートアップ企業と手を組むという方法もあるでしょう。社外に目を向けることも一つのやり方ですが、社内に目を向けてみることで、別のやり方が見つかるかもしれません。そこで、女性社員、外国人社員などの活用が視野に入ってきます。

 

女性社員が、新しいビジネスを生み出すためのクリエイティブ性に、とくに優れている訳ではありません。しかし、人工知能学者の黒川伊保子氏によれば、女性脳は左右脳の連携頻度の高さが特徴だといいます。左脳が論理的思考を司り、右脳が五感や感情を司っていますが、女性脳では左右脳を連携させる頻度が高いというのです。これまでのビジネスではデータに基づく論理性、つまり左脳的な思考が重視されてきました。しかし、言語(左脳)とイメージ(右脳)を連携させる思考パターンを持つ女性がプロジェクトメンバーに加わることで、従来と異なる発想が生まれてくるかもしれません。

 

また、前述の黒川氏によれば、女性の対話はプロセス指向共感型、男性の対話はゴール指向問題解決型という違いがあるようです。つまり、女性はスタートから時系列に沿ってプロセスを語る傾向があり、男性はゴールから遡って話をする傾向があるということになります。思考回路が逆の人間が会議に参加することで、もしかすると議論が進まなくなる弊害があるかもしれません。しかし、なぜ従来そのようなビジネス手法をとってきたのか、その経緯や理由を改めて問い直し、スタート地点に戻る議論の中から新たな方策が見つかる可能性は高いでしょう。外国人社員の場合も同じです。日本の商慣習になじみのない外国人社員には、従来の手法にこだわる必然性が理解できません。そこにどんな意味があるのか、それ以外の手法は考えられないのかなど様々な意見が出てくるはずです。その議論に時間がかかったとしても、今までスルーして見過ごしてきた物事に気づけるのですから、時間をかけるだけの意味があるということになるでしょう。

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